大体ただ言いたかっただけ

ただ、言いたいだけなのです

大人グッズ屋さんのチン客とカスハラ土下座強要(高齢者)

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店員に「土下座強要」で逮捕続く…「お客様は神様」から意識変化?を読んだ。

僕は幸い理不尽なカスハラを受けることはなかったけれど、何度か被害を受けている現場に居合わせたことがある。今回はそんな、チン客のカスハラ。略してチンカ●スの話。

ポルノショップは動物園

その昔、2年半ほどポルノショップでアルバイトをしていたことがあった。スタッフも大概な変人変態の集まりだったが、お客さんも本当に色んな方が来店されていた。

メインの客層は、脂ぎったの乗った30~50歳代の変態紳士達だったけれど、(下半身機能的な意味で)おそらく不能であると推測される60歳代~70歳代、はたまた80歳代の御仁達の来店率が異様に高く、「黄泉かしら?」という錯覚を覚えてしまうほど加齢な香りの漂う、非常に香ばしく芳しいスパイシーな店だった。

どこぞの会社で会長をしていてもおかしくないダンディーな風貌の方から、おにぎりが好きそうな白タンクトップに半ズボンの丸刈りな方、なんともいえないスルメ的なスメルを放つみすぼらしい御方まで。魑魅魍魎が跋扈するというか、ある意味、動物園のような場所だ。

誤解を恐れずにあえて失礼な言い方をすると、ボケはじめているような方も多数いらっしゃった。

「これ買った覚えがないから、返金してくれ」
(そもそも当店で購入されていない)

「昨日買ったのに映らんから交換してくれ」
(新品で購入されたはずなのに、緋村抜刀斎の左ほほくらいの深い傷が付いている)

「思っていたのと違った。どうしたらいい」
(しらんがな。そして手には使用済みのジョークグッズ)

「いやー、流石にそれはちょっと無理っスね~」的なことを言うと(もう少し丁寧に説明するが)大抵の方はナンダカンダ恥ずかしいようで納得されるのだが、 周りを顧みず母親にオモチャをねだるダダっ子のようにオンギャオンギャタイターイ(意訳)と奇声をあげてゴネる方もいた。

ポルノショップの中心であばば叫ぶ

そんなチン客動物園で今も記憶に残る事件があった。

僕がバイトリーダーをしていたポルノショップはそれなりに大きい店舗だったので、ある程度スタッフ毎に担当のフロアがあった。たまに担当外のスタッフがシフトの都合や休憩をまわすためにヘルプで入ってくれていた。

そのヘルプで来てくれたスタッフが、休憩まわしのために僕の担当フロアのポルノDVDコーナーで店番をしていたときのこと。

ほぼ毎日のように店に来ては、冬眠もできず真冬に食糧を探す熊さんのように店内をうろうろ徘徊するだけで、たまにレジに来たと思ったらアソビバという10円の風俗情報誌を買って帰るような常連さんがいた。

その日、大奮発して購入されたのか、袋に入った10枚組で500円の中古エロDVDのセットを手に持ち、悪鬼の形相でレジに詰め寄っていた。

「商品に傷が付いているとは客をバカにしているのか」とお決まりの言葉責めをする熊さん。(推定60代後半)

商品に傷が付いていることに関しては当然、店側が全面的に悪い。中古商品の性質上どうしても起こりうることなので、通常はお詫びのうえ状況に応じて返金をしたり研磨をしたり違うものと交換したりすることで、お客さんの溜飲は下がっていた。

ただこちらの熊さんは聴く耳をもってくれない方だったようで、そもそも経緯も対応方法もあまり分かっていないヘルプスタッフの困惑をよそに、ヒートアップしていた。朝まで生テレビの中盤くらいによく見る様式美、会話せず相手に話させず一方的に俺が正しいと喚き散らすおっさんの様相だった。

僕が休憩から帰ってきたとき、ちょうど喚き散らしているタイミングだったので状況の把握が難しく、他のお客さんの対応にもおわれていたので助け舟を出すことができなかった。そのためオロオロとしたヘルプスタッフをソワソワしながら静観していたのだが、どうにもプンプンの内容が怪しくなっていた。

アン日本国アンアン民としてなんちゃらかんちゃら」

「政治アンがどうの、国のアンアアン在り方がこうの」

法治国家のこの国であってはならないことだアン

販促用モニターからアンアンと流れる嬌声にまじって断片的に聞こえるフレーズが、商品の不備とは関係なくなってきていた。

「日本国民として恥ずかしくないのかアンアンアアン

ポルノDVD売り場のド真ん中でのお言葉である。熊さんはこんな場所で正しさを説いている事への恥ずかしさは無いのだろうか。逆にそういった類のプレイなのだろうか。などと考えていたら更に語気が強くなり、

天皇陛下の御前ぞ。頭が高い、頭を下げよ」

との貴重なご意見を賜ったヘルプスタッフ。いやいや当店はポルノショップですよ、世直しではなくオナをしに来ているのでは??と混乱する僕。

そんなこんなで土下座の強要をされていたヘルプスタッフは、流石に土下座はできないという旨を伝えていたが、熊さんは相変わらず聞く耳をもたずに状況は膠着していた。

「だから、天皇陛下アンアの御前アンと言っておろうが、アギー頭を下げよとアガガガ言っておる」

流石に見苦しい。いい加減見ているのも限界だし、手も空いたのでそろそろ助けに入ろうかと思っていたところ、事態が急転。状況を知らずにフラッとフロアに様子を見に来た超強面(長身×眉毛なし×スキンヘッド)の社員が気づき、現場に無言で近づいた途端、熊さんの容態が急変した。

アンあばばばばばばばンンンッッ」(意訳)

社員の顔を見た途端に人語を話せなくなった熊さんは、よく分からない捨て台詞を残して逃げるように退店した。退転したから退店したってか。(オヤジ)

欲求の暴走と肯定感の欠乏

返金も返品もせずに逃げ帰ったけれど、結局あの人はなにがしたかったのだろう。やっぱり逆にプレイだったのかしらと当時の僕には理解ができなかったが、今思うと度が過ぎた迷惑行為は無意識下で暴走した承認欲求や自己肯定感の欠如から来ている気がする。パートナーや友人が居なかったり、家庭や社会で疎まれていたりする人がモンスター化する傾向にあるように思う。

欠乏や抑圧からくる反動は相当きつい。 たとえば、無理な食事制限をするダイエットは反動でバカ食いしてリバウンドしやすいし、箱入り娘な女性が反動で自ら志願してアダルトビデオに出演することがあるし、男子校で育った男性は性癖が歪みがち(ポルノショップの同僚談)だし、絶対押すなよ!は押すし、壁に穴が開いていて「入れないでください」と注意書きがあれば、陰茎を挿入してみたくなる。(なる)

イキ場のない衝動の反動が人をモンスター化させるのだろう。コールセンターでも働いていたことがあるが、タチの悪い方は大抵同じタイプだった。今の会社でも社内で疎まれているおっさん方は大体似ている。タチが悪いのにイキり立つとはこれいかに。(うるさい)

魔力溜まりで植物や動物が魔物化する、的な設定がなろう系小説とかRPGゲームでよくあるけれど、現代社会においても同じような現象が起こっている気がする。魔力の抜き方は異世界じゃないから分からなくて当然だが、溜まったらヌくものだと思春期の頃に知っただろうに。スケベコンテンツは、性的な欠乏を満たすために活用するものだ。お手軽に上に立てる客の立場でマウントを取って、承認欲求や自己肯定感の欠乏を満たして溜まったストレスを抜くためのものではない。ヌき方を違えちゃいけない。

その名はデマンドおじさん

余談ではあるが、こういったチン客のカスハラもあったけれど、可愛らしいおじさんもいた。

最大手ポルノDVDメーカーの発売日周辺に颯爽と現れ、「お願いしま~~す」という口上(バリトン)で大量のポルノDVDをレジに持ってきてくださる、いつも床屋さんの匂いをさせたロマンスグレーのおじさま。名をデマンドおじさんという。

(閉め作業を進めているスタッフ的には)閉店間際に来店されることだけが玉袋に瑕な方だったが、物腰も柔らかくいつも10万円分くらいの買い物をしていただけるので、最上客として全スタッフに認知されていた。売り上げの少ない日に来店された時には、強要などされずともコチラから感謝と畏敬の念を込めて土下座したくなる思いだった。

マジッ●ミラー号や元芸能人DEBUT等、大量のポルノDVDが入った紙袋を両手に「ありがとう」と言い退店されるその背中は、戦場で武功をたてた一騎当千の"もののふ"のソレであった。なんの話や。

おわりに

人に敬われたいのならば敬われるような言動をすればいいんじゃね?と思う。欠乏は焦点を当てると拡大するものだ。認められたいにフォーカスをすればするほど、敬うには程遠い珍妙で滑稽な見るに堪えないイタい人になってしまう。

過度な迷惑行為でスタッフを振り回して主導権を握って悦に浸っている暇があったら、陰茎を握って擦り回すG行為で快楽に耽っているほうがよほど健全だよね。youtubetwitterにG行為をアップロードしたり、G行為のオカズにと違法ダウンロードをしたりしなければ、件の土下座強要事件みたく逮捕もされないんだから。